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ニューヨーク発のウェルネスブランドBathhouseが、11月5日にニュージャージー州初の施設をバークレー・ハイツで開業する。入居先は、旧Connell Corporate Parkを再開発した185エーカーの複合開発「The Park」である。施設は約2万平方フィート、4層構成で、屋内には塩水、温水、冷水、常温の4種類のプールと2種類のサウナ、スチームルームを備える。屋外には年間を通じて使える北欧式のスパ設備も整える。都心で磨いたブランドを、かつての企業向け団地という郊外の再開発地に持ち込む点が特徴である。

引用元: Bathhouse、ニュージャージー州初の施設をバークレー・ハイツに開業(mycentraljersey.com)

分析・見解

都心のブランドが郊外の再開発地を選んだ意味

Bathhouseはニューヨーク市内で知名度を築いたブランドである。その最初の州外展開が、市内ではなく旧企業団地の跡地という点は見逃せない。都心の賃料は高く、2万平方フィート級の4層施設を置くには相当な負担がかかる。郊外の再開発地なら、広い床面積を確保しやすい。しかも開発側が集客の核となるテナントを求めているため、条件交渉でも有利に働く。

旧Connell Corporate Parkは、もともと平日昼間に会社員が集まる場所だった。在宅勤務の定着で空室が増えた企業団地を、住居、店舗、飲食、運動施設を混ぜた街へ作り替える動きは、米国で相次いでいる。ウェルネス施設は、その街に夜間と週末の人の流れを生む役者として歓迎されやすい。

4種類のプールが示す、入浴ではなく体験を売る設計

塩水、温水、冷水、常温と水温や成分を分けたプールは、1回の来館で複数の体験を回遊させるための仕組みである。サウナで温まり、冷水で締め、休憩する流れを何周も繰り返す人が多いので、設備の数がそのまま滞在時間の長さになる。滞在が長ければ、1人あたりの支払額を上げやすい。

日本の銭湯や健康ランドは、入浴そのものを低価格で提供する発想が強い。これに対しBathhouse型は、同じ水と熱を使いながら、予約制と時間枠を前提に単価を引き上げる。設備投資は大きいが、客数を絞って満足度を保てるため、混雑による評判低下を避けやすい。

通年で使える屋外スパが収益の季節差を埋める

ニュージャージー州は冬の寒さが厳しい。屋外に北欧式のスパを置くと、普通は夏向けの設備になりがちである。ところが温冷交代浴は、外気が冷たいほど体感の落差が大きくなる。冬が弱みではなく魅力に変わる。

日本でもサウナ後の外気浴が人気を集めたように、寒さそのものが体験価値になる。夏に閑散期を迎えがちな施設が多い中、通年で稼働率を保てる設計は、事業計画の安定に直結する。

見落とされがちな視点は、開発側の都合である

注目したいのは、施設の質ではなく、複合開発側がウェルネスを必要としている点だ。小売店舗はネット通販に押され、オフィスは空きが増えた。人を時間単位で滞在させられるテナントは貴重である。つまりBathhouseの出店は、運営会社の戦略であると同時に、不動産開発側が人の流れを買う取引でもある。この構図は、日本の郊外開発や駅前再開発にもそのまま当てはまる。

ビジネスへの影響

出店するなら、開発側が欲しがる条件を先に読む

サウナや温浴事業を検討する企業は、物件を探す前に、開発側が何に困っているかを調べるとよい。空きが増えたオフィス跡地や商業施設には、集客力のあるテナントを求める動機がある。賃料の減額や内装の補助、長期契約といった条件を引き出せる余地が生まれる。大型の自己投資に頼らず、設備投資の一部を地主や開発会社と分担できれば、回収期間は大きく短縮できる。

設備を増やすより、滞在時間と単価の設計を優先する

4種類のプールの事例が教えるのは、設備の数ではなく回遊の設計である。入館料だけでなく、飲食、タオルや着衣のレンタル、休憩スペースの有料化、回数券や会員制を組み合わせ、1回の来館で完結する収益の厚みを作る。ただし予約制による人数制限は、売上の上限も決めてしまう。席数と回転数の試算を早い段階で行い、損益分岐点となる稼働率を数字で確認しておきたい。

日本の事業者が今から確認しておくべき点

日本では、公衆浴場法、消防法、建築基準法、水質管理の基準が絡み、屋外の温冷設備や水温の異なる複数のプールは許認可の手間が大きい。計画の初期に、自治体の保健所や消防と事前相談をしておくと、後戻りを防げる。通年運用を狙うなら、積雪地や寒冷地は有利に働く可能性もある。立地ごとの気候を、弱みではなく体験価値として評価し直す視点が役に立つ。

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