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クア・アンド・ホテルは、静岡県磐田市高見丘に「クア・アンド・ホテル 磐田健康ランド」を新設し、2028年秋の開業を目指す。投資額は補助金を申請した時点で約40億円。敷地は約4,500坪、地上3階建てで、延べ床面積は約1,900坪になる。約200室のホテルに加え、飲食店3店舗とリラクゼーションや娯楽の設備を併設する。浴場は男性用が20種類、女性用が22種類、サウナは男性用4種類、女性用3種類を計画している。単なる大型銭湯ではなく、泊まれる総合型の滞在施設として設計されている点が特徴だ。

引用元: クア・アンド・ホテル、約40億円を投じ磐田健康ランドを2028年秋開業へ(PR TIMES)

分析・見解

日帰り客だけに頼らない収益構造への転換

温浴施設の多くは、入館料と飲食売上で稼ぐ日帰りモデルである。このモデルは天候や曜日に左右されやすい。雨の平日は客足が落ち、週末に売上が偏る。そこで約200室の宿泊棟を組み合わせる動きが出てくる。客室は夜間も稼働する資産であり、入浴と飲食の売上に宿泊料金が上乗せされるからだ。

加えて宿泊客は、翌朝の朝食や朝風呂まで館内で使う。一人あたりの滞在時間が長くなり、館内消費が積み上がる。日帰り客の単価が1,500円から3,000円程度なのに対し、宿泊を伴えば1人1泊で1万円前後の売上が見込める。単価の差が、40億円という投資を支える土台になる。

浴場42種類という数字が意味する差別化

男性20種類、女性22種類という浴槽数は、価格競争から距離を置く狙いが読み取れる。近年のスーパー銭湯は、炭酸泉や高濃度炭酸、露天、サウナを組み合わせて来館理由をつくってきた。ただ、設備が横並びになると差が見えにくい。浴槽を多くそろえれば、一度の来館で飽きにくく、月に数回通う常連をつくりやすい。

サウナを男性4種類、女性3種類に分けた点も見逃せない。サウナ人気は一巡したが、愛好者の水準は上がった。温度帯や湿度の違うサウナを選べる環境は、愛好者にとって宿泊してでも行く理由になる。女性側にも複数種類を用意するのは、利用者層の広がりを意識した設計だろう。

補助金を前提にした投資判断と回収の見通し

投資額が補助金の申請時点の数字である点には注意が要る。補助金が付けば自己負担は下がり、回収期間は短くなる。逆に不採択や減額なら、資金計画の見直しが必要になる。こうした大型施設は、建築費の高止まりと金利の動きにも敏感だ。2028年秋という開業時期は、資材価格や人手の確保状況しだいで前後する余地がある。

試算の目安として、客室200室で稼働率65%、客室単価1万円なら宿泊だけで年間約4.7億円になる。これに日帰り入浴と飲食が加わる。年間売上が15億円前後に届けば、償却を含めても十数年での回収が視野に入る。ただし人件費と光熱費が重く、温浴は燃料価格の影響を直接受ける。

磐田という立地が持つ強みと弱み

磐田市は浜松と静岡の中間にあり、東名高速のインターチェンジも近い。ジュビロ磐田のホームタウンでもあり、スポーツ合宿や観戦客の宿泊需要が見込める。一方で、観光地としての知名度は箱根や熱海ほど高くない。目的地になるには、施設そのものが旅の理由にならなくてはならない。大型の温浴と宿泊の組み合わせは、その弱点を補うための手段である。

ビジネスへの影響

同業の温浴事業者が見直すべき三つの数字

新設の大型施設が近隣に生まれると、既存施設は客単価と客層で比較される。まず確認すべきは、日帰り客の来館頻度、平均滞在時間、飲食の購入率である。次に、浴槽やサウナの更新周期を見直す。全面改装は難しくても、サウナの温度帯追加や休憩スペースの改善なら数百万円から着手できる。競合の開業までの約2年が、準備期間になる。

設備供給や建設に関わる事業者への示唆

浴場42種類やサウナ7種類という規模は、ボイラー、ろ過装置、サウナストーブ、水質管理機器の大口需要になる。発注は開業の1年前までに集中しやすい。納期が延びる傾向にあるため、早めの提案が受注を左右する。省エネ型の熱回収設備は、光熱費を気にする事業者に響きやすい。

自治体や周辺事業者が取るべき動き

施設ができても、周辺が連動しなければ客は館内で完結してしまう。地元の飲食店や観光施設との周遊クーポン、スポーツ大会と組んだ宿泊プランなどを、開業前から協議しておきたい。宿泊客の朝の時間帯をどう使ってもらうかが、地域への波及を決める。

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