ニュースの概要

フィンランドのウェルネス企業Auroomが、ドイツ・シュトゥットガルトで開かれた見本市Interbad 2026で、屋外向けスパの新しい構想を披露した。中身は、伝統的なサウナ、赤外線ヒーター、スチームルーム、シャワーを一つの屋外空間にまとめるというものだ。さらに別製品のアイスバス「VelEira」を組み合わせ、温めて冷やす入浴を庭やテラスで完結させる。製品は既製品を並べる形ではなく、設置場所に合わせて寸法、素材、設備、施工の範囲まで個別に設計する方式をとる。サウナ単体の販売から、庭全体を一つの体験としてつくる提案へ踏み込んだ点が特徴である。

引用元: Auroom、サウナ・赤外線・スチームを組み合わせた屋外スパ構想を発表(Sauna News)

分析・見解

サウナ単体から、庭ごと設計する商売への転換

これまでの家庭用サウナは、箱を一つ置けば完成という商品だった。今回の構想は、その前提を変えている。サウナ、赤外線、蒸気、シャワー、冷水浴が一つの動線でつながり、利用者は部屋を移りながら体を温めたり冷やしたりする。

売り物は設備の性能ではなく、一連の入浴体験になる。住宅メーカーでいえば、キッチン単体ではなく、間取り込みで提案するのに近い。

三つの熱源を並べる意味は、好みと体調の幅にある

フィンランド式の伝統サウナは高温で、体感が強い。赤外線は空気をあまり熱くせず、体を直接温めるため、高温が苦手な人にも向く。スチームは湿度が高く、呼吸が楽に感じられる人もいる。

一つの敷地に三つの選択肢があれば、家族や来客の好みが分かれても一緒に使える。これは家庭でも小規模宿泊施設でも、利用者層を広げる効果がある。

ただし、種類が増えるほど電気容量、換気、排水、清掃の手間も増える。見た目の華やかさと、運用の現実は分けて考える必要がある。

温冷交代浴をセットにした点が、本当の差別化

サウナ人気の中心にあるのは、温まった後に冷やす流れである。アイスバスは、その後半を担う。サウナだけを売る会社は多いが、冷却側まで同じ体験の中に組み込むと、利用者の満足度は上がりやすい。

一方で、冷水槽は水の入れ替えや冷却機の電力、凍結対策など、維持の負担が大きい。寒冷地のフィンランド企業が屋外前提で設計できるのは、気候への経験があるからだろう。蒸し暑い地域では、同じ構成をそのまま持ち込むと冷却の電力が重くなる。

個別設計は強みであると同時に、量産を難しくする

庭の形、地盤、隣家との距離、電源の位置は一件ごとに違う。寸法や素材を現場に合わせる方式は、顧客の納得感を高める。その反面、見積もりと施工の手間が膨らみ、台数を増やしにくい。

同様の例は、造作家具や注文住宅に見られる。利益率は高いが、人材が増やせない。今後は、基本の組み合わせを数パターンに絞り、外装や配置だけを変える半既製型が現実的な落としどころになる。サウナ市場が成熟するほど、この中間型が伸びる可能性が高い。

ビジネスへの影響

設備販売から体験設計へ、提案の軸を移す

サウナや温浴設備を扱う事業者は、機器の仕様表だけで競う段階を越えつつある。顧客が求めるのは、温めて、休んで、冷やすという一連の流れである。提案書も、機器の一覧ではなく、利用者が一時間をどう過ごすかを描く形に変えると伝わりやすい。

宿泊施設や別荘の運営者なら、屋外スパを客室単価を押し上げる付加価値として検討できる。ただし、電気容量と排水の可否は最初に確認すべき項目である。

導入前に確かめたい三つの費用と規制

一つ目は施工費である。基礎、配管、電気工事が本体価格を上回る例は珍しくない。二つ目は維持費で、冷水槽の水処理と電力が毎月の負担になる。三つ目は規制で、屋外の浴槽は建築や衛生、近隣への騒音と煙の扱いが地域ごとに異なる。

相談を受ける側は、機器の見積もりと工事の見積もりを必ず分けて示すとよい。後から追加費用が出ると、信頼を失いやすい。

小さく試し、利用データで広げる

いきなり全部入りを作る必要はない。まずサウナと水風呂だけで開始し、利用が安定してから赤外線やスチームを足す段階導入が安全だ。予約状況や滞在時間を記録しておけば、増設の判断材料になる。個別設計の強みを生かしつつ、投資を小分けにする考え方が、中小事業者には向いている。

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